美味しいものを食べたい!そう思うのは人間の本能です。でもそれがタバコで台無しになっていたら?
喫煙者はそもそも食欲がわきにくい
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット 喫煙と糖尿病 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-004.html
タバコを吸うと痩せたとか太らないとか、そんな話を小耳にはさみます。太るのが嫌だからタバコがやめられない!なんて考えている人もいるようですが。
実は、タバコを吸うと太りにくくなる、というのは本当のことだったのです。それはニコチンが血糖値を上昇させて食欲を抑える働きがあるからです。
お腹がすいたと感じた時、タバコに手が伸びてしまっていませんか。 コレ無意識に空腹感を抑えるため、口寂しさを解消するためにしている行動です。
喫煙歴が長い人は、こうやって常に食欲が抑えられていて、そもそも食欲がわきにくい。さらに、いつもより多く吸いすぎてしまった時なんか、テキメンに食欲が喪失してしまいます。
だったら喫煙者はみんなスマートな体型をしているんじゃないの?と思いますが、太る原因は食欲だけではありません。一概にタバコ=痩せるわけではないことを、ぜひ肝に銘じておいてくださいね。
禁煙で味覚が変化する仕組み
生きること=食べること。人は食事をしなければ生きてはいけません。食を通して栄養を取り、健康な身体を作っていきます。食べることは健康に投資しているとも言えますね。
もちろん、タバコを吸っていても食事は美味しく食べられますし、栄養も取れます。でも、本当の食材の味を感じられていないんです。
タバコを吸っていると、味覚が鈍るという話を聞いたことはありませんか? 味覚は、舌の上にある味蕾(みらい)という赤いブツブツで感知し、脳へ伝えられていきます。
タバコ煙の成分は、受容体、伝達、感覚細胞、神経系等に影響を及ぼすといわれており、味覚障害を生じる可能性があることが懸念されています。 その研究を示したのが以下の表です。
■味覚感度のしきい値とFagerströmスコア
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出典:Tobacco Induced Diseases Table 2 Taste sensitivity thresholds and Fagerström score より作成 https://tobaccoinduceddiseases.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12971-017-0120-4/tables/2
味覚感度のしきい値は、味覚を感じる最低の刺激量のことで、数値が低いほど味覚を感じやすくなります。
Fagerströmとは、ファーガストロームのニコチン依存度指数のこと。数値が高いほどニコチン依存度も高くなります。
このグラフから見ても、喫煙者は非喫煙者と比べて、味覚が鈍いことが分かります。
また、食べ物の味と香りを感じるためには、嗅覚も重要な役割を持っています。タバコを吸うと口や鼻、胃の粘膜が荒れて味覚と嗅覚が鈍くなるといわれています。そして、あと押しのように、ニコチンが口の中に残り、食欲が抑えられてしまう・・・。これではせっかくの美味しい食材も本来の味を感じられず、食事が台無しになってしまうと思いませんか。
誰もが美味しいものを食べたいと思うのは自然なこと。それがタバコで邪魔されているとしたら、本当にもったいない。食べる=健康に投資していると考えるならば、タバコはその逆。不健康になるために投資しているようなものかもしれません。
【副産物】食後の喫煙タイムがなくなって時短に
今は受動喫煙防止法で多くの飲食店で喫煙できにくくなりました。そのため、友人や家族と楽しい外食中に「ちょっと一服」と席を立つこともなく、喫煙所探しの手間もなくなります。
「ちょっと一服」して戻ってきたら会話に入れなかった。そんな経験がある人だったら、よりリアルに理解できるかもしれません。戻ってみるとみんなで盛り上がる会話をしていて、そういうなかに「何?何?なんの話?」と聞いていくと、盛り上がっている人たちからすれば会話に水を差されたようで、心配になった経験をお持ちの方も少なくないでしょう。
禁煙すれば、食事中に席を立つこともなく、同じ席にいる人と同じ時間を最初から最後まで共有できて楽しむことができるんです。それってちょっと人生が豊かになる気がしませんか。
1日のうち、食事にかける時間の平均は1時間40分だそうです。1年に換算すると25日8時間20分。1年の内、25日と3分の1の時間分が食事に充てられていることになります。
1回5分のタバコタイムを毎食取ったとすると、1年間で3日と19時間15分間席を外していることになります。
そう考えると、食事の時間はとても貴重なものと感じますね。
禁煙ライター 黒田知子