年を追うごとに厳しくなる、タバコのルール

私たちの生活の中には意外と見過ごしがちな、守るべき法律やルールが存在します。タバコを吸う事に関しても、そのための法律やルールがしっかりと定められています。それは、タバコを吸う人だけではなく周りの人たちの健康のため、環境を守るため等、目的も理由も様々です。今回は、タバコにまつわる法律について、詳しく見ていきましょう。

タバコに関する法律で、最近よく目にするのが「受動喫煙対策」ではないでしょうか。正しくは「健康増進法の一部を改正する法律(改正法)」といいます。健康増進法は、2002年に国民の健康維持と現代病予防を目的としたものとして制定されました。その中に受動喫煙防止の項目も含まれています。

健康増進法が制定された当初は、努力義務であり、違反者に罰則もありませんでしたが、2018年に改正法が成立し、2020年4月1日に全面施行。これにより、罰則者には20万円~50万円の過料が課せられることになりました。

もしあなたが禁煙エリアでタバコを吸っていたら、最悪の場合30万円の罰金を払わなくてはいけなくなるかもしれません。

タバコは法律で禁じられていないのに、どうして罰金を取るんだ!と思うかもしれません。確かに、20歳以上の喫煙は法律で禁じられていません。しかし、それは喫煙しても良い場所に限ってのこと。ルールを正しく守ってこそ喫煙の自由が認められるのです。

喫煙室の標識知ってる?

健康増進法の一部を改正する法律(改正法)では、原則屋内禁煙ですが、所定の要件をクリアすれば喫煙室を設けることができます。喫煙室には必ず指定の標識の掲示義務があります。標識は、喫煙室を設置している施設の掲示、そして喫煙室への掲示が必要です。要するに施設の入り口と喫煙室の両方に掲示が必要ということ。喫煙者はこの標識をきちんと把握しておくことで、どこでどのようにタバコが吸えるのかが一目で分かります。ルールを守るためにも、それぞれの標識について知っておきましょう。

各種喫煙室を設置した施設の標識

喫煙専用室設置施設等標識

喫煙専用室が設置されていることを示します。
喫煙以外のサービスは禁じられています。

加熱式たばこ専用喫煙室設置施設等標識

加熱式たばこ専用室が設置されていることを示します。
加熱式タバコのみ喫煙可能で、紙巻きタバコ、電子タバコなど他の喫煙は禁じられています。加熱式タバコの喫煙の他、飲食をはじめとするサービスも可能。

喫煙目的室設置施設等標識

シガーバーやタバコ販売店、公衆喫煙所などを喫煙がサービスの目的となっている施設を示します。

喫煙可能室設置施設標識

規模が小さい施設で喫煙室を設置していることを示します。喫煙の他、飲食をはじめとするサービスも可能。

各種喫煙室の標識

喫煙専用室

喫煙は可能ですが、飲食をはじめとするサービスは不可。

加熱式たばこ専用喫煙室

加熱式タバコ限定で喫煙が可能。飲食をはじめとするサービスも可能。

喫煙目的室

喫煙目的施設の喫煙目的室。喫煙と飲食(主食以外)が可能。

喫煙可能室

規模の小さな飲食店などで喫煙と飲食が可能。

喫煙者はどこでどんな喫煙ができるのかを知っておきましょう。

ちなみに、この標識を故意に汚してしまったり、破ってしまったりすると50万円以下の罰則が設けられていますので、酔った勢いで破っちゃった、なんてことがないように注意してくださいね。

法律だけじゃない、自治体の条例も

各自治体には、それぞれに受動喫煙防止に関する条例が定められていることがあります。そのうち、全国で初めて受動喫煙防止条例を行ったのが神奈川県で、2010年4月1日に施工されました。その後、各自治体でも独自の受動喫煙防止条例が制定されていきました。

いくつかの条例を紹介します。

「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」

2010年4圧1日施行 2019年10月一部改正、2020年4圧1日施行
不特定多数が出入りできる空間がある施設において、受動喫煙を防止するルールです。紙巻きタバコはもちろん、加熱式タバコも規制対象。条例に違反すると5万円以下の罰金が科せられる場合もあります。

「東京都受動喫煙防止条例」

2010年4月1日施行
特に健康影響を受けやすい20歳未満の子供、受動喫煙を防ぎにくい従業員に対して受動喫煙から守るために制定された都独自のルールです。基本的には健康増進法の一部を改正する法律(改正法)と同様ですが、法律では屋外の喫煙場所の設置可能となっている保育所や幼稚園、学校なども設置不可。標識の掲示によって喫煙可となっている飲食店でも従業員がいれば不可などの違いがあります。(現状では努力義務)違反者には5万円以下の罰金が科せられる場合もあります。

「大阪府受動喫煙防止条例」

2019年7月1日、2020年4月1日、2022年4月1日施行
大阪府では、2019年7月に、学校関係、医療提供施設、児童福祉施設、行政機関など敷地内禁煙を実施。2020年4月には、敷地内全面禁煙とし、屋内にも敷地内にも喫煙施設を設けなければいけなくなりました。また、不特定多数が利用する施設、飲食店も原則屋内禁煙に。2022年4月には、従業員がいる飲食店でも原則屋内禁煙。(現状では努力義務)違反者には5万円以下の罰金が科せられる場合もあります。

このように、住んでいる地域の条例に加え、法律でも喫煙が制限されているなんて、「どれだけ喫煙者が肩身の狭い思いをしなければいけないんだ」と思ってしまう人もいるでしょう。

しかし、それだけタバコが体に与える影響というのは大きく、深刻なものとしてとらえられている証拠です。

こういった法律や条例は、家庭内まで取り締まることはできません。家の中だけが唯一喫煙の自由が守られる場所と言っていいかもしれません。

ただ、パートナーや子供など、あなたが大切に思う方の健康を思えば、やはり家庭内でも極力タバコは控えたいものです。

長年喫煙歴がある方には、禁煙というハードルはとても高いものだと思いますが、一度ご家族でタバコについて話し合ってみてはいかがでしょう。また、家族が禁煙してくれずに困っているという方も、喫煙者の思いを尊重しつつ、お互いが快適に過ごせる方法を見つけてほしいと思います。

禁煙推進ライター:松本澄子

参考
厚生労働省 なくそう!望まない受動喫煙。
https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/
厚生労働省 受動喫煙対策
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html
神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例のあらまし
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/cz6/cnt/f6955/p23022.html
東京都受動喫煙防止条例
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kensui/tokyo/kangaekata_public.html
大阪府の受動喫煙防止対策
https://www.pref.osaka.lg.jp/kenkozukuri/judoukitsuen/

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