禁煙したいけど、禁煙外来で治療するにはお金がかかるし・・・。と思っている方、諦めるにはまだ早いです!
実は、自治体や企業などで禁煙治療を行う際に助成金が出ることがあるんです。
もし、お住いの地域やお勤めの会社にそういった制度があるなら、使わない手はありませんよ!
禁煙外来が保険適用になる条件と期間、費用は?
2006年4月、禁煙治療に保険が適用されるようになりました。
禁煙治療を保険適用で受けるには、下記の条件に当てはまるのが条件です。
- ニコチン依存症に係るTDSニコチン依存度テスト(※)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
- 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方(1日の喫煙本数が10本で喫煙年数20年の場合、10本×20年でブリンクマン指数はちょうど200になります。)
- 直ちに禁煙することを希望されている方
- 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
※TDSニコチン依存度テストはこちら(https://www.rienpipe.jp/contents_info/?p=524)
禁煙治療を受ける期間は12週間で、その間に5回の診療を受けます。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット
禁煙治療ってどんなもの?
このような禁煙治療は、治療法や処方薬などによって金額は変わってきますが、3割負担の場合で約2万円かかります
もし、600円のタバコを1日1箱吸っている方の場合、12週間(84日)のタバコ代は50,400円になります。
これだけでも 禁煙治療<タバコ代 ということが分かりますよね。
禁煙を考えているなら、禁煙治療による禁煙も候補の一つとして考えられてはいかがでしょうか。
自治体で受けられる禁煙治療助成金
実は、禁煙治療をもっとお得にできる方法があるんです。それが、自治体で行われている禁煙治療助成です。
禁煙治療が保険適用になった同じ年、全国で最初に東京都荒川区が禁煙外来にかかる治療費の助成を始めました。それ以来、禁煙治療助成の取り組みは、全国の様々な自治体で広がっていきました。
禁煙治療助成は、喫煙者の禁煙治療を目的とするもの、受動喫煙防止を目的とするもの、この2種類に分けられます。どちらも喫煙者が禁煙することに変わりはありませんが、受動喫煙防止目的の場合は、助成を受ける条件として、「妊婦や子どもと同居している人」などの基準が設けられている場合があります。
■自治体の禁煙治療助成の例(2022年8月現在)
【喫煙者の禁煙治療を目的としたもの】
●東京都江東区・・・江東区禁煙外来治療費助成事業
対象者:・江東区に住民登録している20歳以上の区民(登録時・助成金申請時)
・登録時、禁煙治療の開始前であること(治療中、治療後は対象外)
・健康保険で禁煙治療を受けることができる
・過去に助成金の交付を受けたことがない
助成額:上限1万円(1人1回限り、自己負担額が1万円未満の場合はその額)
※禁煙治療が完了できなかった場合は助成対象外
定員:先着100名
交付条件:・禁煙外来治療を5回以上受診
・領収書、明細書を保存している
・登録期間(6か月)内
【受動喫煙を防止するための禁煙外来治療助成】
●大阪府大東市…禁煙外来治療費助成事業
対象者:・助成登録申し込み時~禁煙治療終了日まで継続して大東市に住民票をおいている方
・登録申し込みの時点で妊婦または1歳未満の子どもと同居する20歳以上の喫煙者
・妊娠中及び授乳中でない者
・今までに本事業を利用したことがない方
・初診から12週間以内に5回以上禁煙外来治療を受診し、かつ自己負担額(健康保険が適用されるものに限る。)を支払った方
・助成金交付を受けた後に本市が実施するアンケート調査及び本事業に係る広報活動へ協力することに同意する方
助成額:上限2万円(1人1回限り)
定員:100名(先着順)
※助成事業内容は、変更されている場合がありますので、自治体にご確認ください
このほかにも様々な自治体で禁煙治療助成の取り組みを行っていることがありますので、一度お住いの地域の禁煙治療助成制度の有無を確認してみてはいかがでしょうか。
禁煙をサポートする企業や健康保険組合も
禁煙をサポートしているのは、自治体だけではありません。実は、社員の禁煙をサポートしている企業もあるんです。
それが、タバコを吸っていない社員に対して、禁煙手当を支給するというもの。
もし、毎月1万円の禁煙手当が非喫煙者に支給されている場合、喫煙者と非喫煙者の収入の差は年間12万円。ちょっとしたボーナスですよね。こういった手当なら、喫煙者も「よし禁煙しよう!」というモチベーションアップにもつながりそうです。
●企業の禁煙手当導入事例
・A社:健康維持促進手当 5,000円/月
喫煙をしていない社員に対し、月額5,000円支給。30日間の禁煙実績がない事、喫煙を行った場合には手当を取り消し、自宅や外出先でも禁煙することなどが条件。
・B社:ノースモーキング手当・卒煙手当
社内通貨を利用し、喫煙していない人に毎月500コインを付与。卒煙した社員に1回限定で卒煙ボーナス10,000コインを付与。貯まったコインは企業が運営するカフェやレストラン、リラクゼーション施設などに利用可能。
また、健康保険組合で禁煙補助の取り組みを行っているものもあります。
対象者は健康保険組合に加入している被保険者と家族。補助金額は健康保険組合により異なりますが、上限5,000円や費用の1/2(上限1万円)、中には自己負担金額全額を補助する組合もあります。また、禁煙外来による治療だけでなく、薬局での禁煙補助剤購入も補助対象になることもあるので、お勤め先や所属している健康保険組合に確認してみましょう。
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上手に活用して卒煙を目指そう!
助成金や補助、手当など、こんなにお得に禁煙ができるなら、ぜひ禁煙にチャレンジしてみようと思いませんか?
今や世界中で禁煙の動きが進められている中、日本でも様々なサポートが受けられる場合もあるので、活用できるものは活用していきたいですね。
それでも禁煙治療はハードルが高いと思われる方におすすめしたいのが『離煙パイプ』。
今吸っているタバコはそのままで、パイプを装着するだけ。31番のパイプまで使ったら、次はニコチン量0.1mgのタバコに変えて再スタート。最終的には、ニコチンを欲求しない体になっていくという、禁煙サポートグッズです。
一部の企業では、社員の健康促進の一環として、禁煙を支援する「離煙パイプ」を取り入れられている事例もあります。その一例をご紹介します。
●ヘビースモーカー社員がチャレンジ
N社(運送会社/社員数600名)
もともと、喫煙率の高い職場だったN社が、就業時間中の全面禁煙を実施。当初は反対意見もあったものの、最終的には喫煙者の賛同も得られ実施することに。
実施例:禁煙をしたいと申し出た人には離煙パイプを無料配布。
禁煙成功者には3万円の報奨金を付与。
禁煙に失敗した場合、報奨金は無く離煙パイプ代は実費となる。
最初はなかなかチャレンジする人が現れなかったそうですが、ヘビースモーカーで有名だった古参社員がチャレンジしたところ、あっさり成功。それを見聞きした他の社員も続々と離煙パイプで禁煙チャレンジを開始しました。「あの○○さんがやめられたのなら、私だって!」ということだったようです。
N社では、離煙パイプの費用等は、福利厚生の一貫として処理。社員の評判も上々で、すでに喫煙者の半数が、禁煙にチャレンジし、その80%が禁煙に成功したのだとか。
このように最近では企業や事業所ぐるみで禁煙に取り組まれる際に、「離煙パイプ」を活用されるケースも増えてきています。
禁煙するしないはあくまで個人の自由です。会社内でのルールはともかく、会社がプライベートな領域にまで立ち入ることはできません。しかし社員が健康でいることは、会社にとっても大きな課題です。禁煙サポートの一貫として「離煙パイプ」を会社側から社員に提示していくことは、大変意義のあることではないでしょうか。
禁煙健康ライター 多久島
参考
厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-007.html
江東区禁煙外来治療費助成事業
https://www.city.koto.lg.jp/260315/kotokukinengairaichiryohijoseijigyo.html
大東市 禁煙外来治療費助成事業が始まりました!