嫌煙社会といわれる中、職場などで非喫煙者から喫煙者に対しての迷惑行為『逆スモハラ』が起こることがあります。
スモハラは喫煙者に対する嫌がらせや喫煙の強要。逆スモハラとは、喫煙者と非喫煙者の立場が逆になることです。
逆スモハラも原因はタバコ。職場内の喫煙所など、決められた場所でタバコを吸っているにも関わらず、それを責められてしまう。それはまさに、喫煙者にとって行き場をなくしてしまうようなものかもしれませんね。
一方の言い分もあれば、もう一方の言い分もある
タバコを吸わない人に煙を吹きかける、ベランダでタバコを吸わないように再三注意してもやめない。これらはスモハラとして、訴訟にまでなったケースもあります。
では、逆スモハラとは。タバコを吸っていることに対して嫌がらせを受ける事、禁煙を強要されることなどです。
タバコを吸っていることで、臭い!と日常的に言われたり、ひどくなれば消臭剤を吹きかけられたりなどの嫌がらせを受けるケースもあるそうです。また、タバコをやめなければ昇給はない、タバコ臭いからその場から動くなと言われたりすることも、職場での立場を利用した強要行為。つまり、逆スモハラといえます。
受動喫煙防止法によって、職場内でも受動喫煙防止対策が義務化されています。その対策のひとつが分煙です。もし、職場内に喫煙所を設けないなどの分煙が行われていない場合、受動喫煙防止対策を行っていないとして、通報されてしまう事もあり得ます。そうなると企業にとっても大問題になってしまいます。
喫煙者は、職場の決まり通りに喫煙所でタバコを吸っていれば、法を犯しているわけではありません。それなのになぜ責められなくてはいけないのか、と感じてしまいます。職場で分煙が徹底されているにも関わらず、それでもなお、喫煙者は周囲への配慮が必要なのか?それでは、あまりにも喫煙者の肩身が狭すぎで、職場内に居場所がなくなってしまいます。
そうなれば逆スモハラを受けたとして、退職を余儀なくさせられてしまったり、精神的苦痛を受けたとして、訴訟にまで発展する可能性もゼロではありません。
ただ、やはりタバコの煙や臭いは非喫煙者にとっては苦痛を感じるものです。喫煙所の前を通るたびに感じるタバコの臭い、漏れる煙などでの受動喫煙の心配もあります。また、タバコの有害物質が付着した、衣服や髪などから有害物質を吸い込む、間接的な受動喫煙である三次喫煙(サードハンドスモーク)の心配も。
とはいえ、タバコを嫌がるあまり、逆スモハラをするのはもってのほかです。
喫煙者の言い分も、非喫煙者の言い分も理解できるものです。結局はどちらも“行き過ぎた行動”が原因で、スモハラ・逆スモハラというトラブルになっていることが多いもの。どちらの意見も尊重して歩み寄ることができれば、スモハラも逆スモハラも未然に防げるのではないでしょうか。
企業の採用基準は逆スモハラにあたる?
近年、喫煙者は採用しないという企業も増えています。企業側としては、社員の健康を守るため、生産効率を上げるために必要なことなのでしょう。しかし、これが一方では喫煙者に対しての差別、逆スモハラではないのかという声もあるようです。
非喫煙者にとっては、タバコに悩まされない職場であることは、安心感があります。しかし、喫煙者にとっては、希望する職種であったとしても採用基準に当てはまらないことで、最初から除外されてしまうのは考えものです。
しかし、こういった採用基準は、企業がどのような人材を採用するか、という判断になるため、違法にはなりません。例えば、最終学歴は大卒であること、仕事に必要な資格を持っていること、などの採用基準と同じなのです。
ただ、企業側にも喫煙者を採用しない明確な意図を伝えることが必要です。喫煙のための一時離席で作業効率が悪くなる、分煙のための喫煙所を作るスペースがない、受動喫煙で社員の健康を害さない。このような企業側の意思を募集時に明確にしなければいけません。
また、職場内で分煙した場合でも、スモハラ・逆スモハラがないよう、注意する必要があり、管理職の業務も増えてしまいます。職場内では業務に集中できる環境を維持するためにも、喫煙者は採用しないという企業もあるようです。
禁煙推進ライター 松本澄子