タバコと身体

鼻が詰まってグズグズはもう嫌!花粉症にも関係するタバコの影響とは

今や国民病ともいえるほど患者数が増えてきた「花粉症」。鼻のムズムズや目のかゆみで春の訪れを感じるという人もいらっしゃることでしょう。鼻や目、喉、肌などに不快感を与える花粉症ですが、タバコが花粉症に良くないということを聞いたことはありませんか。

今回は、タバコと花粉症の関係について紹介します。

2人に1人!?花粉症に悩む人は年々増えている

環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」によると、2019年には花粉症有病率は42.5%ととても高く、10年ごとに約10%増加し続けています。

出典:環境省 花粉症環境保健マニュアル2022 https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf

花粉症が初めて報告されたのは1960年代。それ以降年々増え続け、今や2人に1人が花粉症に悩んでいます。まさに国民病ともいえるものになってしまいました。

花粉症の人がここまで増えたのはなぜか。それには様々な理由があります。花粉症は、アレルゲンである花粉の飛散量に比例して増えていくと言われています。

林野庁によると、日本の国土面積(3,779万h)の約70%の(2,508万h)が森林面積。その内、スギ人工林が18%(448万h)、ヒノキ人工林が10%(260万h)の面積を占めています。

人工林が増えたのには理由があります。戦中・戦後の物資不足で過度に森林が伐採され、各地で甚大な災害が発生。それを防ぐためにと、高度成長期における住宅建築の増加などにより、建築材や家具材など幅広い用途で使えるスギが植えられていきました。

スギが花粉を飛ばし始める樹齢は、植えてから25年~30年。その頃から本格的に花粉が作られていくと言われています。高度成長期は1955年~1972年あたりまでと言われています。その頃に植えられたスギが1980年~2000年頃にスギ花粉生産のピークとなり、花粉の飛散量が増えてきたため、花粉症を発症する人も増えたというわけです。

花粉症発症のメカニズムとは

花粉症が発症するのはアレルギー反応によるもので、「季節性アレルギー性鼻炎」というもの。目や鼻に花粉が入ってくると、体の免疫システムが花粉を異物と見なします。異物を排除するため、花粉が入ってくるたびにIgE抗体というものがつくられ、体内に蓄積していきます。これがあるレベルに達すると、アレルギー反応を起こすヒスタミンが分泌され、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状を引き起こしてしまうのです。

特に鼻の症状に関しては、鼻の粘膜についた花粉を排除しようとする働きによるもの。ここでポイントとなるのが鼻の粘膜です。

花粉症を引き起こすのは、鼻の粘膜のバリア機能の低下も原因のひとつといわれています。通常、鼻の粘膜はアレルギー物質や細菌、化学物質などをブロックする働きを持っています。これが鼻の粘膜のバリア機能です。しかし、空気の乾燥や温度差などで鼻の粘膜が荒れてバリア機能が損なわれてしまうと、花粉が入ったときに反応を起こしやすく、さらにアレルギー反応で鼻の粘膜はさらに荒れやすくなってしまうのです。

禁煙すれば花粉症対策にもなる

花粉症対策には、規則正しい生活やバランスの取れた食事が必要です。そのほかにも鼻の粘膜を傷つけるようなことは避けたいもの。

鼻の粘膜を傷つける原因の一つにタバコがあります。

環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」では、“花粉症の症状と関連性の強いものの一つとして喫煙を指摘する報告がある”と記載されています。

また、厚生労働省でも“タバコを控えることも鼻の粘膜を正常に保つために重要です。”としています。

タバコの煙には、アレルゲンでないものをアレルゲンに変えてしまう“アジュバント効果”という働きがあるといわれています。これは、細胞の免疫反応を高める効果のこと。今まで花粉を吸いこんでも症状が出なかったのに、タバコの煙が原因の一つとなって花粉症を引き起こすこともあるのだとか。もちろん喫煙者本人だけでなく、受動喫煙も同じ。

タバコは身体に悪い。そんなことは重々承知でしょうが、まさか花粉症にまで影響しているとは思わなかった方もいらっしゃることでしょう。

今は花粉症に関わらず、新型コロナウイルスでマスクが必須の生活をしています。新型コロナウイルスが終息してマスク不要になっても、花粉症の方は春になればまたマスク生活。いつかマスクがいらない春を迎えたいと思っているのではないでしょうか。それならば、原因の一つであるタバコをやめてみてはいかがでしょう。

花粉症で辛いのに、さらにタバコをやめるとなれば、さらに辛くストレスを抱える毎日かもしれません。

タバコは簡単にはやめられないものですが、一度離れてしまえば、そこから健康を取り戻せる日々が待っているのです。タバコをやめて花粉症の症状が軽くなるなら、一石二鳥ではないでしょうか。

参考 ・林野庁 森林・林業とスギ・ヒノキ花粉に関するQ&A https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/qanda.htm ・齋藤博久著「Q&Aでよくわかるアレルギーのしくみ」2015年 技術評論社 ・環境省 花粉症環境保健マニュアル2022 https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf ・厚生労働省 平成22年度花粉症対策 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/ippan-qa.html ・「タバコ病辞典 吸う人も吸わない人も危ない」 監修:松崎道幸・渡辺文学 2004年 実践社

禁煙健康ライター 多久島

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